思い浮かぶのは歯磨き粉?ネオンが輝く宝石アパタイトについて
こんにちは。
今回ご紹介する宝石は、アパタイトです。
アパタイト(Apatite)
和名 燐灰石(りんかいせき)
鉱物名 アパタイト
硬度 5
靭性 3.5
劈開 なし
色 無色、黄色、緑、青など
産地 ブラジル、マダガスカル、ミャンマーなど
アパタイトとは
アパタイトとは、アパタイトグループと呼ばれる鉱物のグループ名です。グループ内で最も多く産出するのは、弗素を含む弗素燐灰石(ふっそりんかいせき)です。宝石として流通するアパタイトは大抵が、この弗素燐灰石(フローアパタイト・Fluor-apatite)になります。
しかし宝石でフローアパタイトの名前はあまり使われておらず、単にアパタイトと呼ばれることが多いです。グループ内の他の燐灰石は弗素燐灰石に比べて産出が稀な為、アパタイトとだけ記載されている場合は、通常、フローアパタイトです。
他のアパタイト
弗素の代わりに水酸基を主に含むものは、水酸燐灰石(すいさんりんかいせき)です。英語ではHydroxyapatite(ハイドロキシアパタイト)と言います。ハイドロキシアパタイトが配合された歯磨き粉などがある為、名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
実はこのハイドロキシアパタイトは、人間や動物の歯や骨の主成分となっているものなのです。人の体は燐灰石を作れるのですね。ハイドロキシアパタイトを人工的に合成した人工骨、人工歯根などが作られたりもしています。
宝石としてのアパタイト
鉱物としては珍しくないアパタイトですが、宝石質のものとなるととても希少になります。しかし探せばそれなりに見かけますし、大きさも極小という訳ではありません。宝飾用にカットされているものは、透明度も高くて美しいです。透明度が低い場合は大抵カボションカットにされており、キャッツアイ効果が確認できます。
※カボションカットとは宝石のカット方法の一つで、上部をつるっと丸い山形にカット・研磨するカット方法です。底面は平らです。
※キャッツアイ効果とは宝石に入った光が内包物に反射し、宝石に一条の光が現れる現象のことです。
アパタイトには様々な色があります。なかでもネオンブルーのアパタイトはパライバトルマリンによく似ており、人気のあるカラーです。アパタイトと言えば、青色をイメージされることが多いと思います。他にはアスパラガスストーンと呼ばれる黄緑色や、モロキサイトと呼ばれる緑色が人気があるようです。
名前の由来
アパタイトの名前は、ギリシャ語で欺く・誤魔化すといった意味の言葉からきています。これはアパタイトが他の色んな鉱物に間違えられた為です。前述のネオンブルーアパタイトも、そのネオン感がパライバに本当にそっくりです。アクアマリンやアメジスト、フローライトにも間違えられたようです。カラフルなところもアパタイトの魅力ですね。
アパタイトの取説など
しかし○○に似た宝石と言われてきたせいか、その美しさにもかかわらず、アパタイトの評価はあまり高くありません。これはアパタイトが脆い石であることも関係しています。
アパタイトの硬度は低く、劈開(へきかい)はないものの、靭性(じんせい)も低い値です。硬度とは擦り合わせた時に傷つきやすいかどうかを、靭性は衝撃に対する耐久性を表しています。これらの値が低いということは、ジュエリーに加工する際や日常で身につける際に、傷ついたり割れてしまいやすいということなんですね。
宝石はジュエリーとして扱われることが殆どですから、ジュエリーにする為には宝石の強度も大切です。そうした観点からも、アパタイトは少し評価が下がってしまうのです。
とは言え、アパタイトの美しさは本物です。透明度が高い個体はすっきりと美しく、華やかなネオンカラーが輝きます。透明度が低くても、キャッツアイが光るものは個性的で素敵です。
取り扱いには注意が必要ですが、アパタイトのジュエリーは作られていますから、気をつけていれば日常使いも可能です。硬いものに擦れたりしないように、また、衝撃を与えないようにお気をつけください。
それからアパタイトは、紫外線により退色すると言われています。これは日常使い程度なら問題ないと思いますが、長時間日光にさらすことのないようにご注意ください。
アパタイトの意味(石言葉)
アパタイトの意味(石言葉)を、厳選して三つご紹介します。
・自信
・創造
・安定
終わりに
ぱっと目を引く鮮やかなアパタイト。
少しでも興味を持って頂けたら嬉しく思います。