有名なのは変種ばかり?隠れた宝石クリソベリルとは
こんにちは。
今回ご紹介する宝石は、クリソベリルです。
クリソベリル(Chrysoberyl)
和名 金緑石(きんりょくせき)
鉱物名 クリソベリル
硬度 8.5
靭性 -
劈開 明瞭
色 黄色、黄緑など
産地 タンザニア、ブラジル、インド、スリランカなど
クリソベリルキャッツアイ
クリソベリルは変種※が有名な宝石です。スタンダードなクリソベリルはとても美しいのですが、あまり知られておらず、変種の知名度の方がずっと高くなっています。
クリソベリルの変種とは、所謂キャッツアイ(猫目石・ねこめいし)と呼ばれるものです。キャッツアイとは、宝石に入った光が内包物に反射し、宝石に一条の光が現れる現象のことです。この線が猫の目のように見える為、キャッツアイ効果と呼ばれています。
※変種とは色や特殊効果などにより、鉱物種を更に細分化したカテゴリーのことです。ガーネットに代表される鉱物の「グループ」は、鉱物種の上のカテゴリーになります。
クリソベリルで言うと「クリソベリル」は鉱物種です。そのクリソベリルという種の中で、キャッツアイ効果(特殊効果)があるものは変種となります。
キャッツアイ効果は他の宝石でも見られますが、クリソベリルでキャッツアイ効果が出るものが最も有名です。線がはっきりしていて中央に真直ぐあり、クリソベリル自体がハニーカラーで、尚且つ透明度の高いものが最高級とされています。
アレキサンドライトはクリソベリル
クリソベリルの中には、カラーチェンジ効果のあるものもあります。これもクリソベリルの変種にあたるということですね。カラーチェンジ効果とは、蛍光灯の下では青色系、白熱灯の下では赤色系の色に変わる現象のことです。
これは大変人気のある特別なクリソベリルで、アレキサンドライトという宝石名がつけられています。クリソベリルという鉱物の中でカラーチェンジ効果の強い(色が劇変する)ものが、アレキサンドライトとなります。宝石名が個別についている為、通常のクリソベリルとは別枠にされます。こちらも、カラーチェンジ効果のある宝石の中で最も有名なのがアレキサンドライトです。
因みにカラーチェンジ効果が弱い(色は変わるけど劇的ではない)ものは、鑑別においてアレキサンドライトと認められない場合もあります。鑑別とは宝石の種類を調べることです。アレキサンドライトと認められなかった場合、宝石名はクリソベリルになります。
ですので、カラーチェンジは(弱く)あるけどアレキサンドライトとならなかったクリソベリル、「カラーチェンジクリソベリル」が存在します。勿論、鑑別においては存在しません。カラーチェンジ効果が認められなかった訳ですから、鑑別書にコメントは入りません。宝石名クリソベリル、以上です。
しかしながら、弱くてもカラーチェンジはするんです。肉眼では確かにちょっと弱いなと思っても、撮影してみると結構しっかり変色しているのが分かります。アレキサンドライトになり損ねた個体と言えばそれまでですが、こういった変わり種もなかなか楽しいと思います。
それにしても、アレキサンドライトの判定はとても厳しいのですね。それだけアレキサンドライトという宝石が、カラーチェンジ効果を代表する特別な存在なのでしょう。アレキと聞けば誰しも、一瞬で変貌を遂げるところを期待します。クリソベリルからアレキになった途端に価値が跳ね上がりますから、判定が厳しくなるのも当然かもしれません。
純粋なクリソベリルの美しさ
キャッツアイ効果のない、アレキサンドライトでもない純粋なクリソベリルは、実はとても美しい宝石です。輝きもよく、透明度の高い個体の場合は本当にすっきり、まっすぐに透明です。クリソベリルは緑がかった黄色が多いですが、緑みのない純粋な黄色がイチオシです。鮮やかで明るい黄色のクリソベリルは、太陽みたいな力強さを感じる美しさです。
クリソベリルの取説
クリソベリルはジュエリー加工にも向いています。硬度が高く、そしてはっきりした値は見つけられませんでしたが、靭性(じんせい)も高いとの評価が一般的なようです。硬度とは擦り合わせた時に傷がつきやすいかどうかを、靭性は衝撃で割れやすいかどうかを表す値です。
クリソベリルは丈夫な宝石なので、日常使いにも安心です。
名前の由来
最後になりましたが、名前の由来はギリシャ語で黄金を意味する「Chrysos」からきています。和名の金緑石にも金の字が使われていますね。キャッツアイで稀に見かける、ハニーカラーを彷彿とさせる由来です。それに黄金と聞くととても強そうですし、頑丈で美しいゴールドイエローのクリソベリルに似合っています。
クリソベリルの意味(石言葉)
クリソベリルの意味(石言葉)を、厳選して三つご紹介します。
・豊穣
・カリスマ性
・魔除け
終わりに
色んな顔を持つクリソベリル。
少しでも興味を持って頂けたら嬉しく思います。