アイドクレースとベスビアナイトの関係とは?アイドクレースの名前について
こんにちは。
今回ご紹介する宝石は、アイドクレースです。
アイドクレース(Idoclase)
和名 ベスブ石(べすぶせき)
鉱物名 ベスビアナイト
硬度 6.5
靭性 -
劈開 なし
色 黄緑、褐色、青、ピンクなど
産地 米国、カナダ、パキスタンなど
アイドクレースの名前について
アイドクレースという名前が広く知られているこの宝石は、ベスビアナイトと紹介されていることもあります。一体どういうことなのか、ちょっと混乱してしまうかもしれません。
アイドクレースは宝石名で、ベスビアナイトは鉱物名です。国内の著名な宝石鑑別機関の中央宝石研究所では、ソーティングに前述の記載がされています。ソーティングとは簡易の鑑別メモのことで、鑑別とは宝石の種類を調べることです。
和名のベスブ石はベスビアナイトの和名です。アイドクレースに対する和名はなく、ベスブ石がアイドクレースの和名も兼ねているようです。
アイドクレースの由来は見た目が他の鉱物と紛らわしかった為、「見かけ」と「混じる」という意味のギリシャ語から付けられました。ベスビアナイトの由来は、イタリアのベスビアス火山で最初に発見されたからです。ベスビアス火山は、ベスビアス火山の噴火により消滅した古代都市ポンペイの話で有名です。
アイドクレースの特徴
アイドクレースは宝石としてより、パワーストーンなどのアクセサリーによく登場します。半透明くらいのものが多く、宝飾用にカットされたものでも、すっきりとクリアなものは少なめです。
透明度の高くない宝石の場合は、よくカボションカットにされます。カボションカットとは宝石のカット方法の一つで、上部をつるっと丸い山形にカット・研磨するカット方法です。底面は平らです。
アイドクレースも、このカボションカットがよくあります。
青いアイドクレース「シプリン」
アイドクレースの色は黄緑~褐色が殆どですが、稀にピンクや青色が産出します。宝石が色を持つのは大体が石に含まれる成分によってですが、青色のアイドクレースは銅を含有することにより青くなっています。
この青色の含銅アイドクレースは、シプリン(Cyprine)と呼ばれます。色味はルース※の場合、グレーがかっていたり、グレーが強く出ている青色が多いです。原石の鉱物標本の場合は、鮮やかなマリンブルーをしているものを見かけます。
※ルースというのは、原石をカット・研磨したものです。宝石と聞いて思い浮かべるような、面が沢山あってキラキラしている状態が、カット・研磨済みの状態です。その状態の、リングでもペンダントでもない宝石そのものを、ルースと言います。
シプリンの名は、ラテン語で銅を意味する「Cyprium」からきています。これを更にさかのぼると、キプロス島の金属を意味する「aes Cyprium」という言葉に辿り着きます。キプロス島とは著名な銅の産地だった場所で、今はキプロス共和国があります。因みに銅の元素記号Cuの由来は、このCypriumが訛ったCuprumからきています。
色がピンクの場合はマンガンを含むことによる発色です。ピンクもブルーもとても希少で、大きさも小さいものが殆どです。しかし透明度の高いアイドクレースは、大変美しく輝きます。特にピンクは濃色であることが多い為、小さくても存在感があります。
アイドクレースの取説
少し硬度が低いので、日常使いの際にはお気をつけください。硬度とは、擦り合わせた時に傷がつきやすいかどうかを表す値です。一般に硬度は7以上あると安心です。水にさらすのは大丈夫ですが、紫外線で退色すると言われています。長時間日光にさらすことのないようにお気をつけください。
アイドクレースの意味(石言葉)
アイドクレースの意味(石言葉)を、厳選して三つご紹介します。
・慈愛
・精神力
・魔除け
終わりに
意外と地味ではないアイドクレース。
少しでも興味を持って頂けたら嬉しく思います。