ちょこっと発見、宝石の話

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知る人ぞ知る固溶体の奥深い魅力!希少宝石スカポライトについて

こんにちは。
今回ご紹介する宝石は、スカポライトです。

 

スカポライト

 

スカポライト(Scapolite)
和名 柱石(ちゅうせき)
鉱物名 スカポライト
硬度 5.5
靭性 -
劈開 明瞭
色 無色、黄色、紫など
産地 タンザニアマダガスカルアフガニスタンなど

 

 

スカポライトはグループ名

スカポライトは、スキャポライトと呼ばれることもあります。このスカポライト(柱石)という名前は、ガーネットやスピネルと同じで鉱物グループの名前です。グループにはカルシウムを主成分とするメイオナイト - Meionite - (灰柱石・かいちゅうせき)と、ナトリウムを主成分とするマリアライト - Marialite - (曹柱石・そうちゅうせき)があります。メイオナイトは、マイオナイトと呼ばれることもあります。

 

両者の間は連続しており、成分が混ざり合った固溶体となっています。なのでメイオナイトとマリアライトの中間といったものも存在し、以前はその中間種をウェルネライトと呼んでいました。今でもその名を耳にすることはありますが、現在では中間的なものの場合は単に「スカポライト」と呼ばれています。

 

和名の「灰」はカルシウム、「曹」はナトリウムのことを指します。著名な鉱物グループの長石(ちょうせき)にも、カルシウムが多い灰長石と、ナトリウムが多い曹長石があります。ちなみに虹色の輝きが人気の宝石ラブラドライトは、曹灰長石(そうかいちょうせき)と言います。

 

スカポライトは固溶体鉱物であるため、端成分のメイオナイト・マリアライトともに、純粋なものは見つかっていないようです。割合の差はあっても、必ずお互いの成分が含まれているんですね。もしナトリウムを全く含まないメイオナイトや、カルシウムを全く含まないマリアライトがあったら、是非見てみたいものです。見た目だけでは違いは分かりませんけれども、純粋という言葉に惹かれます。

 

アメジストとの関係

スカポライトは無色のルースが多いです。他に見かけるのは黄色や紫などで、紫のスカポライトはアメジストにそっくりで美しく、とても人気があります。スカポライトは水晶によく似ているため、黄色の場合にはシトリンに間違えられたりもします。

 

シトリンはアメジストを加熱処理して黄色くしたものが一般的ですが、スカポライトは反対に、黄色(または無色など)のスカポライトを照射処理して紫色に変化させていることがあるようです。基本的には人工処理のされていない宝石となっていますが、気になる方はご注意ください。人工処理が施されたスカポライトは、いずれ褪色してしまうようです。

 

美しい宝石のスカポライトですが、その姿が水晶に似ていること・産出の少ない希少石であることなどから、知名度が低いコレクターストーンとなっています。スカポライトは硬度もちょっと低くて扱いに気を使いますし、産出が多くてよく似た水晶のほうに注目がいってしまうんですね。
しかし、スカポライトの柔らかな透明感はとても魅力的です。レアストーンゆえにあまり見かけることはありませんけれど、出会った際には是非お手に取ってみてください。レアではありますが、売られているルースの大きさは割と大きめで存在感がありますよ。

 

スカポライトの色について

時々「紫色のスカポライト」がメイオナイト(orマリアライト)だと書かれていることがありますが、スカポライトの種類は色によって分けられている訳ではありません。名前(種類)は成分によって決まりますので、どんな色味であってもメイオナイト・マリアライトともに存在します。
そんな中でもメイオナイトのほうがより希少で、かつ紫色の人気の高さから、紫のメイオナイトが好まれる傾向があるようです。

 

スカポライトはキャッツアイ効果が出る個体もあり、その場合は黒や赤茶色の濃い色をしていることが多いです。その他、スカポライトには蛍光性という特徴もあり、知れば知るほど興味深い宝石であることがうかがえます。
蛍光性とは宝石に紫外線を当てた時、蛍光する性質のことです。スカポライトはこの蛍光性が強く、紫外線(UV)ライトを当てると赤や黄色などに蛍光するものがよくあります。個体によっては蛍光しないものもありますので、蛍光するスカポライトが欲しい時は、蛍光の有無を忘れずに確認しましょう。
スカポライトはカラーレスや淡い色味のほうが、蛍光する場合が多い印象です。

 

スカポライト

 

スカポライトの取説

スカポライトは硬度が少し低いことに加え、風化しやすい宝石です。表面が白濁しやすく、劈開(へきかい)もありますので、取り扱いにはご注意ください。ジュエリーの場合はこまめにお手入れをしましょう。ルースの場合は、あまり頻繁にケースから出さないほうが良いですね。

 

また、スカポライトはUVライトで蛍光性を楽しんだりする宝石ですが、日光に弱いとも聞きます。念のため、日の当たる場所に長時間置かないようにお気をつけください。

 

スカポライトの意味(石言葉)

スカポライトの意味(石言葉)を、厳選して三つご紹介します。

 

・確信
・品格
・安定

 

終わりに

奥が深く、多彩な魅力のスカポライト。
少しでも興味を持って頂けたら嬉しく思います。