ちょこっと発見、宝石の話

色々な宝石をご紹介しているブログです。宝石について何かちょこっとでも発見していって頂けたら嬉しいです。

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サファイアよりも美しい青 ベニトアイトの魅力とは

こんにちは。
今回ご紹介する宝石は、ベニトアイトです。

 

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ベニトアイト(Benitoite)
和名 ベニト石(べにとせき)
鉱物名 ベニトアイト
硬度 6.5
靭性 -
劈開 なし
色 青、無色など
産地 米国

 

 

サファイアよりも美しい青

ベニトアイトは米国三大希少石の一つです。サファイアより美しいと言われる青色が特徴の、輝きの強い宝石です。

 

ベニトアイトが産出するのは、米国のカリフォルニア州サンベニトです。他の場所でも多少見つかってはいますが、宝石質の美しい結晶は殆どがサンベニト産になります。1985年には、カリフォルニア州の州宝石に指定されました。因みに米国の国石(こくせき)はサファイアです。

 

しかし既に鉱山は閉山してしまい、レアストーンとなっています。
日本の新潟県でも少量が採れますが、宝石質のものは殆どなく、あってももの凄く小さいようです。

 

強烈なファイアが特徴

米国産だとしても大きい宝石質を目にする機会は少ないですが、ベニトアイトは小さくても凄まじい存在感があります。少し紫がかった青の美しさもさることながら、強烈なファイアが放たれるのです。

 

ファイアとは石に入った光が分散して反射し、虹色に輝いて見える現象です。宝石の青色が虹色に変化するという訳ではなく、虹色の光がそこに見える感じです。
光の分散の程度は分散率で示されます。値が大きいほどファイアが強く出ます。ベニトアイトの分散率は0.044で、この数値はダイヤモンドと同じです。ベニトアイトはダイヤモンドと同等の虹の輝きを持っているんですね。

 

ベニトアイトはこのファイアが有名で、キラキラと輝く様子が大変人気です。ファイアはダイヤモンドのような無色透明である方がよく観察できますが、青のベニトアイトでもファイアは見られます。ただ、あまりに濃い青色の場合は、宝石自体の色にファイアが隠れてしまって見えにくいかもしれません。


ベニトアイトを選ぶ際は濃すぎない程度の色味を選ぶと、ベニトらしいブルーとファイアを両方楽しめると思います。

 

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ベニトアイトは色が変わる

ベニトアイトの魅力はファイアの他にもあります。多色性(たしょくせい)というものがあり、ベニトアイトは多色性がある・大きい宝石です。

 

多色性とは一つの石の中で見る方向の違いにより、色が変わって見える性質のことです。ある方向からは綺麗な青色、違う方向からは色が消えたような淡い色に見える、といった具合です。

 

多色性の強い宝石の場合は大抵、発色の良い方向が正面になるようにカットされます。その為ベニトアイトは通常、正面からが最も美しい青色をしていると思います。どういった色味に変わるか、どの程度多色性があるかは個体差があります。

 

しかしベニトアイトは希少な宝石なので、重量の確保の為、発色を最大限活かせない時もあります。これは他の宝石でも同様です。


鉱物は天然のものですから、どういった状態の原石が産出するか分かりません。産出した原石が最も美しく見えるように研磨したいけれど、その為に大部分を削り取って小さくし過ぎても価値が下がってしまう、というジレンマです。

 

この辺りの兼ね合いは大変難しく、研磨職人さんの腕の見せ所になります。職人さんは本当に凄いと思います。

 

サファイアとの違い

サファイアに似ていて、サファイアよりも綺麗な青のベニトアイト。サファイアとの見分け方は、やはり輝きの強さです。個体によってはベニトアイト自体の青色が見えなくなるくらい、よく輝きます。眩しいです。


それから個体差はありますが、ベニトアイトの方が少し紫がかっているように思います。

 

ベニトアイトの強度

硬度があまり高くない為、ジュエリー加工の際にはちょっと注意が必要です。硬度とは、擦り合わせた時に傷がつきやすいかどうかを表す値です。一般にジュエリー加工には硬度7以上が望ましいとされています。これは空気中のほこりに多く含まれる石英(せきえい)が硬度7である為、それより硬度が低いと宝石が傷つきやすくなってしまうからです。

 

しかしベニトアイトはそこまで脆いという訳ではないので、日常使いの際は一般的な宝石の扱い方で良いと思います。

 

ベニトアイトの意味(石言葉)

ベニトアイトの意味(石言葉)を、厳選して三つご紹介します。

 

・気品
・純粋
・好奇心

 

終わりに

虹色を放つ美しい青のベニトアイト。
少しでも興味を持って頂けたら嬉しく思います。