ちょこっと発見、宝石の話

色々な宝石をご紹介しているブログです。宝石について何かちょこっとでも発見していって頂けたら嬉しいです。

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緑の女王エメラルドは傷つきやすい その理由と取説もご紹介

こんにちは。
今回ご紹介する宝石は、エメラルドです。

 

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エメラルド(Emerald)
和名 翠玉(すいぎょく)
鉱物名 ベリル
硬度 7.5-8
靭性 5.5
劈開 なし
色 緑
産地 コロンビア、ザンビア、ブラジル、ロシアなど

 

 

エメラルドは傷が多い

緑を代表する宝石エメラルドは、世界四大宝石の一つです。エメラルドの歴史は古く、クレオパトラも好んだと言われています。クレオパトラはエメラルドの鉱山も持っていたとか。エメラルドは様々な国や人に長く愛されてきた宝石です。

 

エメラルドを探してみると、なかなかすっきり透明なものが見つからないかもしれません。実は「傷のないエメラルドは無い」と言われるほど、エメラルドは内包物やひび割れが多いのです。

 

上のデータにある硬度は、擦り合わせた時に傷がつきやすいかどうかを表すものなのですが、エメラルドは比較的強い値です。因みに最高値は10で、ダイヤモンドしかありません。
ですがその下の靭性(じんせい)の値が低く、ちょっと心配になります。靭性とは衝撃に対する強さや、割れやすいかどうかを表したものです。

 

更にその下の劈開(へきかい)とは、特定の方向に割れやすい性質のことです。さけるチーズとか、薪割りの木材のような感じです。力を加える箇所によってはあっさり割れてしまうこの性質がある場合、劈開が「完全」または「明瞭」などと記載されます。

 

エメラルドはこの劈開がない為、データだけを見ると大丈夫そうに思えますが、ここで注目したいのがエメラルドの傷の多さです。採掘時から既にひび割れがある状態なので、そこに力が加わったら流石に割れてしまいます。このようにエメラルドは硬度が高めでも割れやすく、取り扱いには注意が必要となります。

 

耐久性を上げる含浸処理

でも世界には、エメラルドのジュエリーがあふれていますね。これは割れやすく加工に適さないエメラルドに、オイルや樹脂を使った含浸処理(がんしんしょり)が施されているからです。

ひび割れの部分に透明なオイルや樹脂を染み込ませて割れ目を塞ぎ、耐久性を上げて加工や使用に耐えられるようにしています。この含浸処理は、ほぼ100%のエメラルドに行われています。


オイルは透明なのでエメラルド本来の色には影響しませんが、傷が目立たなくなるので見た目が良くなります。

 

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エメラルドに対するオイル含浸処理は一般的なものなので、神経質になる必要はありません。ただ、含浸するものが透明オイルや樹脂ではなく、色のついたものである場合には注意が必要です。

色の薄いエメラルドがあったとして、そこに濃い緑色を染み込ませたら、深い緑色の美しいエメラルドができます。でもこれは、元々のエメラルドの色ではないですよね。色の改変が行われていることを承知して手に入れるのは全く問題ありませんが、知らされずに高額で購入させられてしまうことがないよう、気をつけたいところです。

 

純粋なノンオイルエメラルド

そんなエメラルドですが、透明度が高く傷が少ないものもごく稀に産出します。透明度が高いということは、割れやすい原因の傷や内包物が少ないということです。なのでこうした状態のエメラルドには補強する必要がありません。

これがノンオイル処理、またはノンオイルエメラルドと言い、人工処理が行われていない純粋なエメラルドとして最高級になります。このノンオイルエメラルドの中で更に、緑色が濃く美しいものが頂点ですね。

 

エメラルドの取説

エメラルドはほぼ全てのものに含浸処理が施されています。その為、オイルが抜けてしまわないように取り扱いには注意が必要です。強度を補っているオイルが抜けると、元々あった傷から割れやすくなってしまいます。


熱や化学薬品に弱いので、高温や洗剤などにはさらさないようにお気をつけください。乾燥するとオイルが蒸発するとも聞きます。エアコンの風が当たるような場所に置かないなど、保管場所も選びましょう。


大切に扱えばその分だけ長く、美しいエメラルドグリーンを輝かせてくれます。

 

お手入れ方法についてはこちらの記事をご覧ください

自分でできる簡単な宝石のお手入れ方法 - ちょこっと発見、宝石の話

 

エメラルドの意味(石言葉)

エメラルドの意味(石言葉)を、厳選して三つご紹介します。

 

・豊穣
・癒し
・幸福

 

 

終わりに

緑の女王エメラルド。
少しでも興味を持って頂けたら嬉しく思います。