魅力的な青紫の特別感 12月の誕生石タンザナイトについて
こんにちは。
今回ご紹介する宝石は、タンザナイトです。
タンザナイト(Tanzanite)
和名 灰簾石(かいれんせき)
鉱物名 ゾイサイト
硬度 6-7
靭性 やや低め
劈開 完全
色 青、青紫
産地 タンザニア
タンザナイトは12月の誕生石
タンザナイトは12月の誕生石としても知られている、深い青紫色の美しい宝石です。12月の誕生石と言えばターコイズ(トルコ石)では?と、不思議に思われる人もいるかもしれません。実はタンザナイトが誕生石に加わったのは、2002年のことなのです。2000年代に入ってからなんですね。
誕生石というものは、1912年に米国の宝石業界が定めたものが大元となります。そこに各国がアレンジを加えたりして自国の誕生石を定めている為、誕生石は国によって違いがあります。
日本の誕生石は1958年に決められました。日本独自のアレンジは、3月の珊瑚と5月の翡翠(硬玉・ジェダイト)になります。どちらも有名な国産宝石ですね。3月のアクアマリン、5月のエメラルドと入れ替えているのではなく、珊瑚と翡翠を各月にプラスしています。
タンザナイトの宝石名
タンザナイトは1967年にタンザニアで発見されました。まだ新しい方の宝石です。鉱物名をゾイサイトと言い、ゾイサイトには様々な色がありますが、タンザナイトのような美しい青紫色はそれまでありませんでした。ゾイサイトはカラフルで素敵な宝石なのですが、あまり目立たず地味な扱いだったようです。そこへ20世紀最大の発見と言われる宝石、タンザナイトが登場したんですね。
うっとりするような深い青紫をタンザニアの夕暮れ空に重ね、タンザニアの夜の意からタンザナイトと名付けられました。
タンザナイトは大変な人気となり、タンザナイトの名前は瞬く間に広まりました。しかしタンザナイトだけが注目を集めた為、今でもゾイサイトは相変わらずちょっと地味な印象です。タンザナイトとは青~青紫のゾイサイトを指すので、ゾイサイトの他のカラーはカラー名+ゾイサイトで呼ばれます※(例:グリーンゾイサイト)。でもゾイサイトではタンザナイトより知名度が低いことから、例えばグリーンゾイサイトは「グリーンのタンザナイト」とか、「タンザナイトの色違い」といった説明がされていることがよくあります。
ちょっと混乱してしまいそうになりますが、タンザナイトの色は青~青紫のみです。それ以外の色は存在しません。ゾイサイトが青~青紫だった場合に、宝石名がタンザナイトとなります。元々タンザナイトの名前は流通名(通称)だった為、暫くの間は宝石名がブルーゾイサイトでした。鑑別書などでは宝石名はブルーゾイサイトで、コメント欄に別名タンザナイトと呼ばれていますという記載があったんですね。今はそれが変わって、宝石名タンザナイトになっています。
※ピンク色をしたゾイサイトの場合は、チューライト【Thulite(桃れん石・とうれんせき)】と呼びます。ただ、タンザナイトほど有名ではなく、ピンクゾイサイトと記載されていることも多くあります。ピンク色は鉄とマンガンによる発色です。チューライトは鑑別における宝石名ではありません。
因みにタンザナイトの青い発色は、バナジウムによるものと言われています。
タンザナイトの特徴
タンザナイトは透明度が高く、内包物の少ない宝石です。大きいサイズも割と採れるので、ジュエリーにするととても優雅で映えます。しかしながら色の濃いものは希少で、流通しているタンザナイトの多くは加熱処理によって美しい青紫色を引き出しています。タンザナイトに対する加熱処理とは、茶色や黄色みのあるタンザナイトを加熱することにより、それらの色を抜いて綺麗な青紫にする処理方法です。タンザナイトの加熱処理は、一般的に行われているものです。非加熱のものもありますが濃色は稀で、黄色がかったものや淡い青紫が多いです。
タンザナイトは多色性のある宝石なので、見る方向によって色が変わって見えます。多色性のある宝石は大抵、最も美しく見える方向が正面にくるようにカットされます。その為タンザナイトの場合は正面からが青紫で、横からは別の色に見えることが多いと思います。どんな色に変わるかは個体差がありますが、無色や黄色がよくあります。
タンザナイトの取説
タンザナイトは美しく人気があり、ジュエリーも沢山作られています。しかし硬度がちょっと低く、また、劈開(へきかい)も完全である為、取り扱いには注意が必要です。そこまで過敏にならなくても良いと思いますが、衝撃を与えたり硬いものに擦れたりしないように気をつけましょう。
紫外線や水にさらすのは大丈夫ですが、超音波洗浄機は避けてください。汚れが気になる時は、ぬるま湯に中性洗剤を入れて薄め、そこに浸して柔らかいブラシ(歯ブラシなど)で軽くこすって磨きましょう。綺麗になったらよくすすぎ、柔らかい布で水分を拭き取ってください。
詳しいお手入れ方法についてはこちらの記事をご覧ください
自分でできる簡単な宝石のお手入れ方法 - ちょこっと発見、宝石の話
タンザナイトの意味(石言葉)
タンザナイトの意味(石言葉)を、厳選して三つご紹介します。
・智慧
・柔軟性
・判断力
終わりに
夕暮れの魅力的な空を宿すタンザナイト。
少しでも興味を持って頂けたら嬉しく思います。